2011年9月4日日曜日

えぐれた山、つぶれた民家 重機入れぬ現場で捜索難航




幅100メートル以上にわたってえぐれ、赤い土肌をさらす山。50メートル近く流され、見る影もなく押しつぶされた民家。重機が入れないため、自衛隊や消防団員らが手やチェーンソーでがれきを撤去し、捜索活動を続ける。土砂崩れで住宅6棟が巻き込まれ、一時孤立状態となった和歌山県田辺市伏菟野に4日、入った。

 伏菟野に通じる県道の橋は落下しており、迂回して別の道を歩く。横殴りの雨で数メートル先も見えない。道の至る所で土砂が崩れ落ち、横を流れる川では黄土色の濁流がごう音を立てる。

 小学校校舎には約40人が避難。高校1年と3年の息子2人が行方不明となった男性(48)は3日夜、いつも通り家族一緒に食事を取り、めいめい部屋で過ごしていた。次男は4日が合唱部の発表会。同じ部屋にいた妻を助けるのが精いっぱいだった。「気づいたときには家が傾き、扉が開かなくなっていた」。泥の付いたTシャツ姿で目を赤くし、唇をかんだ。

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