2011年10月16日日曜日

山梨県開発「ミニコチョウラン」の愛称決定、安価で豪華、生産軌道に乗せ来夏デビュー


ひと鉢が数万円もする高価なコチョウランに代わって、オリジナル品種で低価格なミニコチョウランなら、あなたは買いますか。
 山梨県高冷地野菜花き振興センター(同県北杜市明野町)で平成11年からオリジナル品種として研究を重ね、開発に成功したミニコチョウラン「山梨1、2、3号」3種のうち、1号が来夏に市場デビューする見通しだ。すでに開発元の山梨県から品種利用権の承諾を得た花き園芸組合連合会が量産軌道を整えており、価格設定などの市場調査を始めた。
 ミニコチョウラン開発について、同県花き農水産課の花き特産担当者は「従来のコチョウランと比べて、生産するうえでミニコチョウランは広い面積を必要としないうえ、1年で出荷できるメリットがある品種」と説明する。
 従来のコチョウランは花茎が50~60センチほどに伸びるがミニコチョウランは20~30センチ。花の大きさも3~4センチでひと回り小さい。また栽培時から観賞時まであまり手がかからないメリットもあるという。
 価格については従来品種のコチョウランより低価格を想定している。ひと鉢数千円程度に落ち着きそう。従来品種が高級贈答品であるのに対し、「ミニコチョウランは身近な友人へ気軽なプレゼントとして利用するのもいいでしょうし、自分用に購入して楽しんでもらっても」という。
3種の特徴は、山梨1号が花びらの縁が赤紫色をして、株が小さく、花はほのかな香りを漂わす。開花期は夏。2号は1号と比べ花がやや小ぶり。濃い赤が特徴。花茎が伸びて次々に花を咲かせてくれるという。3号は2号の姉妹品種。明るい赤紫と淡い赤のコントラストがやさしさを感じさせる。2、3号は通年出荷が可能だ。
 ただ、売りだすのに「山梨1号」の名ではあまりに色気がない。そこで花き園芸組合にもOBが多い同県立農林高校の生徒から愛称を募集してみた。3種に計724点の応募があり、山梨1号は「ふじ紫(ゆかり)」、2号は「ひめか」、3号は「優凪(ゆうなぎ)」と決まった。優雅な名がついた。
 現在10軒の農家で栽培して、ふじ紫500株を来年8月に初出荷する予定。再来年には2千株に増やす。ひめかと優凪も再来年に初出荷する計画だ。
 山梨県内では富士山麓地方の生産者が育てた「なごり雪」という種もある。こちらはすでに市場に出回っている。7月に富士河口湖町の野外音楽堂でフォークシンガー、イルカのコンサートが開かれた際、ヒット曲「なごり雪」の作曲者として知られる伊勢正三がゲスト出演すると、生産者から鉢植えの「なごり雪」がプレゼントされた。愛らしい花ぶりに場内の女性たちからため息がもれたほどだ。ミニコチョウランブーム到来を予感させるシーンだった。

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